「営業のノルマにはもう疲れました。でも、事務職で給料が下がるのも嫌なんです…」
キャリア相談の現場で、元営業職の方から最もよく聞く悩みの一つです。そんなあなたに今、私が最も推奨しているキャリアチェンジ先が「カスタマーサクセス(CS)」です。
「え?それってクレーム対応の仕事(サポート)でしょ?」と思ったなら、あなたの情報は少し古いです。
カスタマーサクセスは、SaaS(サブスクリプション型サービス)の普及と共に生まれた「顧客を成功に導くコンサルタント」のような職種です。
営業のように「狩り(新規開拓)」をする必要はなく、サポートのように「謝る(マイナス処理)」仕事でもありません。
この記事では、未経験からCSを目指すメリットだけでなく、「ノルマはないという嘘」や「名ばかりCSの罠」といった、求人サイトには書かれない不都合な真実まで、包み隠さず解説します。
カスタマーサクセスとは?「守りのサポート」から「攻めの伴走」へ
カスタマーサクセスを日本語に直訳すると「顧客の成功」です。文字通り、顧客が自社のツールを使って成果を出せるように導く役割を指します。
営業・サポート・CSの決定的な違い
それぞれの役割をメタファー(比喩)で比較すると分かりやすいでしょう。

| 職種 | 役割(比喩) | ミッション |
|---|---|---|
| 営業(Field Sales) | 狩猟(Hunter) | 「契約」を獲得する(New Revenue) |
| サポート(Support) | 守り(Shield) | 不満やトラブルを「解決」する(Minus to Zero) |
| カスタマーサクセス(CS) | 農耕(Farmer) | 契約を「継続・拡大」させる(LTV Maximize) |
上記のように、CSは「農耕型」の仕事です。一度契約してくれた顧客という「畑」を耕し、水をやり、長く収穫を得続ける(契約継続してもらう)ことが目的です。
なぜ今、CSが「SaaSの要」なのか
かつての「売り切りモデル」のビジネスと違い、現在の主流であるSaaS(月額課金モデル)では、契約してもすぐに解約されてしまえば利益が出ません。
顧客をつなぎ止める役割であるCSは、企業の利益を守る「LTV(顧客生涯価値)」の守護神として、近年急速に地位を高めています。

【甘い罠】「ノルマがない」は嘘です
よく「カスタマーサクセスは営業ノルマがないから楽」という説を見かけますが、これは大きな間違いです。
テレアポ件数のような「行動ノルマ」はありませんが、CSにはもっとシビアな数字責任(KPI)が存在します。
CSが背負う2つの数字
- 解約率(チャーンレート / Churn Rate)
担当している顧客がどれだけ解約してしまったか。CSにとって「解約」は最大の失点です。ゴールキーパーがシュートを決められるのと同じくらいのプレッシャーがあります。 - アップセル / クロスセル金額
顧客の利用状況を見て、「上位プランにアップグレードしませんか?」と提案し、契約単価を上げることです。ここには明確に営業的な要素が含まれます。
つまり、CSは「お世話係」ではなく、「数字を持ったコンサルタント」なのです。ここを誤解して入社すると、「こんなはずじゃなかった」と後悔することになります。
「名ばかりCS」に注意!コールセンターとの見分け方
さらに注意が必要なのが、実態はただの「コールセンター(クレーム係)」なのに、求人票ではおしゃれに「カスタマーサクセス部」と名乗っている企業です。
このミスマッチを防ぐためのチェックリストを用意しました。

求人を見る際は、以下のNGワードに注意してください。
- ❌ 「受電対応メイン」「電話対応8割」 → これはサポートです。
- ❌ 「シフト制」「夜勤あり」 → 多くのB2B SaaSは平日日勤です。シフト制の場合は個人の顧客対応(B2C)の可能性が高いです。
- ❌ 「未経験歓迎、大量募集」 → 専門性の低い大量採用(離職率が高い)の可能性があります。
未経験からCSになるための「現実的な」戦略
未経験から「本物のCS」を目指すなら、SaaS求人に強いエージェントを使うのが鉄則です。
なぜなら、CSは専門職であり、ハローワークや一般の求人誌にはほとんど掲載されないからです。
1. doda(デューダ)
CS求人数が最も多いのがdodaです。ここを使わない手はありません。
【プロ直伝の検索テクニック】
単に「カスタマーサクセス」と検索すると、コールセンターが混ざります。
キーワードに「SaaS」を含め、除外ワード設定(詳細条件)で「コールセンター」「受電」を除外してください。これで「本物」の求人が炙り出されます。
2. ワークポート(WORKPORT)
IT未経験からのキャリアチェンジに強いのがワークポートです。「未経験から挑戦できるSaaS企業のCS」というニッチな案件を保有していることが多いです。
将来の年収イメージ
最後に、CSの将来性について。CSからのキャリアパスは非常に豊かです。
- CSマネージャー:チームを統括(年収600〜800万円)
- PdM(プロダクトマネージャー):顧客の声を製品開発に活かす(年収800〜1,000万円超)
- PMM(プロダクトマーケティング):製品の売り方を考える戦略職
今の年収が低くても、CSとして「SaaS業界」に潜り込めば、将来的な年収アップの天井は一気に高くなります。
「営業は辞めたい、でもキャリアは捨てたくない」。そんなあなたにとって、カスタマーサクセスは最良の選択肢になるはずです。
まずはエージェントで「実際の求人票」を見て、自分の適性と照らし合わせてみてください。